(最終更新: 2026年4月19日)
- Agility Robotics社のDigitは身長175cm・重量63.5kg・28自由度の産業用ヒューマノイドロボット
- GXO倉庫で10万トート以上を自動搬送した業界初の大規模商用実績を持つ
- 2026年2月にトヨタカナダ工場に7台導入(RaaSモデル)、Mercado Libre・Amazonとも商用契約
- 2025年3月にSeries C $4億調達、評価額$21.2億に到達(WP Global主導、SoftBank参加)
- 2026年末にリリース予定の次世代Digitは可搬重量25kgに拡大、人間協働にも対応
Agility Robotics Digitとは
Agility Robotics Digit(アジリティ・ロボティクス・ディジット)は、米オレゴン州セーラムに本社を置くAgility社が開発・製造する産業用ヒューマノイドロボットです。2015年にオレゴン州立大学のスピンオフとして設立され、現在CEOを務めるのは元Microsoft副社長のPeggy Johnson氏(2024年3月就任)です。
Digit最大の特徴は、業界で最も商用化が進んでいる点です。Tesla Optimus・Figure 02・Apptronik Apolloなどが量産・パイロット段階にある中、Digitは既にGXO Logisticsの倉庫で10万トート以上を自動搬送する大規模商用実績を積んでいます。
2026年3月には社名を「Agility Robotics」から「Agility」に短縮し、産業用物流だけでなく幅広い用途への展開を示唆しています(BusinessWire)。
Digit スペック
| 項目 | 現行モデル | 次世代(2026年末予定) |
|---|---|---|
| 身長 | 175 cm(5’9″) | 175 cm |
| 重量 | 63.5 kg(140 lbs) | 約63.5 kg |
| 可搬重量 | 16 kg(35 lbs) | 25 kg(55 lbs) |
| 自由度 | 28 DOF(腕部4 DOF×2) | 30+ DOF |
| バッテリー駆動時間 | 最大8時間 | 改善予定 |
| 歩行速度 | 5.5 km/h(3.4 mph) | 5.5+ km/h |
| センサー | LiDAR、Intel RealSense×4、RGBカメラ、MEMS IMU、腕部力覚センサー | 非公開 |
| 部品数 | 約6,000点(80%以上が米国調達) | — |
| 安全認証 | ISO機能安全認証を申請中 | 2026年中〜後半取得見込み |
| 推定価格 | 約$25万(パイロット向け) | 非公開 |
| ビジネスモデル | RaaS(Robot-as-a-Service)推進 | — |
出典: Robozaps / TechCrunch / Agility公式
他社ヒューマノイドとの比較
| 機種 | 身長 | 重量 | 可搬 | ステージ |
|---|---|---|---|---|
| Agility Digit | 175 cm | 63.5 kg | 16 kg | 商用導入済(10万トート実績) |
| Figure 02 | 170 cm | 70 kg | 20 kg | 量産中(BMW稼働) |
| Tesla Optimus Gen 3 | 173 cm | 57 kg | 20 kg | 量産開始(2026年1月) |
| Apptronik Apollo | 172 cm | 73 kg | 25 kg | 商用パイロット |
| Boston Dynamics Atlas | 150 cm | 89 kg | 非公開 | 量産開始(2026年) |
Digitの競合比較については「ヒューマノイドロボット比較表【2026年版】」もあわせてご覧ください。
商用実績
Digitの最大の強みは、実際の現場で稼働している「商用実績」の豊富さです。
GXO Logistics — 10万トート搬送
ジョージア州のGXO Logistics倉庫で、Digitは10万個以上のトート(搬送用の容器)を自動搬送する実績を達成しました。これは業界初の大規模商用運用であり、Digitが単なるデモ機ではなく実業務で稼働していることを証明しています。
Toyota Motor Manufacturing Canada — 7台導入
2026年2月、Digitはトヨタのウッドストック工場(TMMC)に7台導入されました。トヨタは自社でヒューマノイドを開発せず、Agility Digitをサービスとして採用するアプローチを選択しています(トヨタのロボット戦略詳細)。
Mercado Libre — 南米進出
2025年12月には中南米ECの雄Mercado Libreと商用契約を締結。北米・南米の両地域で物流自動化を推進しています。
その他の顧客・パートナー
- Amazon: Series Bに出資参加+テスト導入
- Schaeffler: ドイツの自動車部品大手が顧客
- NVIDIA: 技術パートナー(Isaacプラットフォーム連携)
資金調達と企業価値
| 項目 | 値 | |——|—–| | 累計調達額 | 約$6.4〜6.8億 | | 最新企業価値 | 約$21.2億(2025年6月 Series C-3時点) | | 主要投資家 | DCVC, Playground Global, Amazon Industrial Innovation Fund, NVentures (NVIDIA), SoftBank, Sony Innovation Fund, WP Global |
2025年3月のSeries Cでは、WP Globalが主導して$4億を調達し、企業価値は$21.2億に到達しました(GeekWire)。日本勢ではSony Innovation Fundが出資しており、間接的ながら日本資本が入っています。
2025年10月にはSoftBankが$9億評価での買収を検討していたとの報道もあります(SiliconFlorist)が、実現には至っていません。
RaaSビジネスモデルの強み
AgilityはRobot-as-a-Service(RaaS)モデルを中核戦略に据えています。顧客は$25万の機体を購入する代わりに、月額サービスとしてDigitを利用できます。このモデルには以下のメリットがあります:
- 導入障壁の低減: 初期投資が不要、減価償却リスクも回避
- 継続的アップデート: 次世代Digitへの切替がスムーズ
- Agility側の継続収益: 安定したサブスクリプション売上
RaaSモデルはトヨタのTMMC導入でも採用されており、ヒューマノイド業界のスタンダードになりつつあります。
次世代Digit(2026年末予定)
2026年12月にリリース予定の次世代Digitは、以下の進化が予告されています:
- 可搬重量: 16kg → 25kg へ拡大(工場作業の大部分をカバー)
- 自由度: 28 → 30+ DOF
- 人間協働対応: ISO機能安全認証を取得し、人間の隣で稼働可能に
- AI向上: NVIDIA GR00T基盤モデルの統合強化
日本での展開
日本法人は未設立で、国内の直接導入事例もまだありません。ただし以下の間接的接点があります:
- Sony Innovation Fund が出資(日本資本)
- トヨタ がカナダ工場で導入(日本企業の採用事例)
- NVIDIA連携 を通じた日本法人への波及可能性
日本市場でのDigit本格展開は、2026年末の次世代モデルリリース以降と見込まれます。
よくある質問(FAQ)
Agility Robotics Digitの価格はいくらですか?
推定価格は約$25万(約3,750万円)とされていますが、Agility社は主にRaaS(Robot-as-a-Service)モデルで提供しており、顧客が直接購入するケースは限定的です。月額サービス費用は非公開ですが、トヨタ・GXO・Mercado Libreなどの大口顧客向けに個別契約されています。
Digitは日本で購入・導入できますか?
2026年4月時点でAgilityの日本法人は設立されておらず、日本国内での直接導入事例もまだ公表されていません。ただしSony Innovation Fundが出資しており、トヨタがカナダ工場で導入している点から、日本市場参入は時間の問題と見られています。2026年末の次世代Digitリリース以降に本格展開の可能性があります。
Digitの商用実績は他社と比べてどうですか?
GXO倉庫での10万トート搬送は業界最大規模の商用実績で、Figure 02(BMW工場)やUBTECH Walker S2(中国工場)に並ぶかそれ以上の実運用データを蓄積しています。特に「物流・倉庫」領域ではTesla Optimusやその他の汎用型ヒューマノイドよりも実績が豊富です。
Agility Roboticsは上場していますか?
Agilityは2026年4月時点で未上場です。ただし企業価値$21.2億のユニコーン企業として、将来的なIPOが注目されています。個人投資家が間接的にExposureを持つ方法としては、出資しているSoftBank Group(9984)やSony Group(6758)の株式保有、またはヒューマノイド専用ETF「HUMN」への投資などがあります。詳細は「ヒューマノイドロボットETFガイド」をご覧ください。
次世代Digitはいつ発売されますか?
2026年12月頃にリリース予定です。可搬重量25kg、ISO機能安全認証取得、人間協働対応、NVIDIA GR00T基盤モデル統合強化などが予告されています。現行モデルからの切替はRaaSユーザーには優先提供される見込みです。
まとめ
Agility Robotics Digitは、ヒューマノイドロボット業界で最も商用化が進んでいるプレイヤーの一つです。GXO倉庫10万トート搬送・トヨタカナダ工場7台導入・Mercado Libre契約などの豊富な実績は、Tesla Optimusや他の大型プレイヤーが量産段階にある中で明確な差別化要素となっています。
評価額$21.2億・SoftBank/Sony出資・NVIDIAパートナー・2026年末次世代Digit投入という好材料が揃っており、「物流ヒューマノイド」カテゴリーの本命として今後も注目すべき企業です。
ヒューマノイドロボット業界全体の企業比較については「ヒューマノイドロボット関連銘柄&企業48社一覧」で、他製品とのスペック比較は「ヒューマノイドロボット比較表」をご参照ください。
参考文献
- Agility Robotics 公式サイト
- Agility公式「Digit moves over 100K totes」
- Agility公式「Commercial Agreement with TMMC」
- Agility公式「Mercado Libre Agreement」
- BusinessWire「Agility Robotics Becomes Agility」
- TechCrunch「Toyota hires seven Agility humanoid robots」
- GeekWire「Agility Robotics raising $400M」
- Sacra「Agility Robotics」
- Robozaps「Agility Robotics Digit review」
