(**最終更新: 2026年4月19日** / 時価総額・上場情報は変動します)
- 日本のヒューマノイドロボット関連企業を「開発メーカー」「スタートアップ」「部品サプライヤー」の3軸で整理
- トヨタはTRIでAI研究を推進しつつ、カナダ工場にAgility Digit 7台を導入済み
- KyoHA(京都ヒューマノイドアソシエーション)に村田製作所・マブチモーター・ルネサスなど13者が参画し、純国産開発が始動
- SoftBank GroupはABBロボティクス部門を$53.75億で買収し、フィジカルAI戦略を加速
- 日本の部品メーカー(ハーモニック・ドライブ、安川電機等)はグローバルサプライチェーンの要
ヒューマノイドロボットの日本企業一覧【2026年版】
日本は産業用ロボットで世界トップクラスのシェアを持つ一方、ヒューマノイドロボットの商用化では米国・中国に後れを取っているのが現状です。しかし2025〜2026年にかけて、KyoHAの発足やSoftBankの大型買収など巻き返しの動きが加速しています。
以下に、日本のヒューマノイドロボット関連企業を「完成品メーカー」「スタートアップ」「部品サプライヤー」「投資・導入」の4カテゴリで整理しました。
| 企業名 | カテゴリ | 主力製品/事業 | 上場 | ティッカー |
|---|---|---|---|---|
| トヨタ自動車 | 完成品メーカー | T-HR3 / Avatar Robot / TRI(AI研究) | 東証プライム | 7203 |
| Honda | 完成品メーカー | Avatar Robot(ASIMO技術転用) | 東証プライム | 7267 |
| 川崎重工業 | 完成品メーカー | Kaleido 9(190cm/99kg/30軸) | 東証プライム | 7012 |
| THK | 完成品メーカー | SEED-Noid(サービスロボット) | 東証プライム | 6481 |
| SoftBank Group | 投資・プラットフォーム | ABB買収 / Skild AI出資 / Pepper(終了) | 東証プライム | 9984 |
| テムザック / KyoHA | スタートアップ | 純国産ヒューマノイド(2系統開発中) | 未上場 | — |
| ドーナッツロボティクス | スタートアップ | cinnamon 1(約1,800万円) | 未上場 | — |
| ugo | スタートアップ | ugo Pro(セミヒューマノイド、警備・点検) | 未上場 | — |
| Telexistence | スタートアップ | TX SCARA / Model-T(ファミマ陳列で商用化先行) | 未上場 | — |
| カワダロボティクス | スタートアップ | NEXTAGE(双腕協働ロボット) | 未上場 | — |
| Mujin | スタートアップ | MujinController(ロボット制御ソフト、ユニコーン候補) | 未上場 | — |
| ハーモニック・ドライブ | 部品サプライヤー | 精密減速機(波動歯車装置)世界シェア約50% | 東証プライム | 6324 |
| 安川電機 | 部品サプライヤー | サーボモーター世界トップシェア | 東証プライム | 6506 |
| ファナック | 部品サプライヤー | 産業用ロボット世界大手 | 東証プライム | 6954 |
| ナブテスコ | 部品サプライヤー | 精密減速機大手 | 東証プライム | 6268 |
| 村田製作所 | 部品サプライヤー | センサー・電子デバイス(KyoHA創設メンバー) | 東証プライム | 6981 |
| マブチモーター | 部品サプライヤー | 小型モーター世界大手(KyoHA参画) | 東証プライム | 6592 |
| ソニーグループ | 部品・投資 | イメージセンサー世界50%超 / Agility出資 | 東証プライム | 6758 |
| ルネサスエレクトロニクス | 部品サプライヤー | マイコン世界大手(KyoHA参画) | 東証プライム | 6723 |
世界の主要企業48社を含む全体像は「ヒューマノイドロボット関連銘柄&企業48社一覧【2026年4月最新版】」をご覧ください。
2026年Q1 日本勢ハイライト
- 2026年1月: トヨタがカナダ工場にAgility Digit 7台を正式導入開始
- 2026年2月: KyoHA(京都ヒューマノイドアソシエーション)の参画企業が13社超に拡大
- 2026年3月: SoftBankがABBロボティクス部門買収($53.75億)クロージング完了
- 2026年3月: 日本郵政キャピタルが米Apptronik Series A+($5.2億)に参加 — 物流ヒューマノイドへの布石
- 2026年3月: 安川電機がNVIDIA連携を発表、Isaacロボティクス基盤との統合を推進
これらの動きは、日本勢が「自社開発」ではなく「グローバルサプライチェーンの要所を押さえる」戦略へと明確にシフトしていることを示唆しています。
大手メーカーの取り組み
トヨタ — AI研究の最前線
トヨタのロボット戦略は、自社でヒューマノイドを「製品」として販売するのではなく、AI技術の研究開発に重点を置いています。
米国のToyota Research Institute(TRI)は、Boston DynamicsのAtlasを活用したLBM(大規模行動モデル)の研究を推進。2025年8月には歩行・しゃがみ・持ち上げなどの全身動作で仕分け・整理タスクを連続実行する成果を発表しました(TRI公式)。
製造現場への導入では、2026年2月にカナダ・ウッドストック工場(TMMC)でAgility RoboticsのDigitを7台導入しています。自社開発ではなく外部ヒューマノイドをRaaS(Robot-as-a-Service)で採用する実務的なアプローチが特徴です。
TRI CEOのGill Prattは「人間を置き換えるのではなく増幅する」というビジョンを明言しており、日本のAIロボット協会にもTelexistence等とともに参画し、VLAモデル構築を推進しています(PR TIMES)。
Honda — ASIMOの遺産をAvatar Robotへ
Hondaは1986年からヒューマノイド研究を開始し、2000年に発表したASIMOは世界で最も有名な二足歩行ロボットとして約20年間ロボティクスの象徴的存在でした。ASIMOは57 DOF、走行速度最大9 km/hという当時最先端のスペックを誇りましたが、2018年に開発を終了しています(IEEE Spectrum)。
現在はASIMO技術を転用した「Avatar Robot」を開発中です。これはVRゴーグルとグローブで遠隔操作する「分身ロボット」で、16関節のマルチフィンガーハンドはASIMO比5倍以上の指先力を実現しています(Honda公式)。実用化目標は2030年代です。
Tesla・Figure AI等の「AIによる完全自律型」とは異なり、「人間の判断+ロボットの身体能力」という遠隔操作型のアプローチは、Hondaならではの差別化軸です。
川崎重工 — 産業用ロボットの技術を転用
川崎重工は2015年からヒューマノイドロボット「Kaleido」を開発しています。2025年12月のiREX 2025で公開された第9世代は、身長190cm・重量99kg・30軸と大型化し、30kgの棚移動やほうきの操作をデモしました(PC Watch)。
産業用ロボットで培った高精度サーボ・制御技術を転用している点が強みで、NVIDIA Isaac SIMでの強化学習によって歩行安定性を前世代比2倍に向上させています。グループビジョン2030ではヒューマノイドを重点領域の一つに位置づけ、「同僚は、空飛ぶヒューマノイド。そんな時代を、きっと作る」をビジョンとして掲げています(川崎重工ブログ)。
注目のスタートアップ
KyoHA(京都ヒューマノイドアソシエーション)
2025年7月に設立されたKyoHAは、日本発の「純国産」ヒューマノイドロボット開発を目指すコンソーシアムです(テムザック公式)。
| 区分 | 参画組織 | 専門領域 |
|---|---|---|
| 創設メンバー | 早稲田大学(高西淳夫教授) | ヒューマノイド基礎研究 |
| 創設メンバー | テムザック | ロボット開発・実装 |
| 創設メンバー | 村田製作所 | センサー・電子デバイス |
| 創設メンバー | SREホールディングス | 不動産テック・AI |
| 新規参画 | OIST(沖縄科学技術大学院大学) | 先端研究 |
| 新規参画 | マブチモーター | 小型モーター |
| 新規参画 | カヤバ(KYB) | 油圧制御 |
| 新規参画 | NOK | シール部品・精密ゴム |
| 新規参画 | ヒーハイスト | 直動機器・リニアベアリング |
「パワー重視型」(災害現場向け)と「俊敏性重視型」(研究用)の2系統を開発中で、2026年3月に初期プロトタイプ、2026年末に本格モデルの製作を目指しています。中国OEMに依存しない国産サプライチェーンの構築を掲げている点が特徴です。
ドーナッツロボティクス — cinnamon 1
ドーナッツロボティクスは2014年に福岡で創業し、2026年1月に量産型二足歩行ヒューマノイド「cinnamon 1」を世界初公開しました。身長約170cm・重量約70kg、初年度販売価格は約1,800万円です(日経ビジネス)。
「体は中国、脳は米国」というアプローチで、海外OEM機体に独自AI(VLA搭載予定)を組み合わせ、サイレントジェスチャーコントロール(声なし手振り指示、特許技術)で差別化を図っています(PR TIMES)。
ugo — 実用化で先行するセミヒューマノイド
ugo株式会社は2018年設立のJ-Startup選定企業で、車輪移動型のセミヒューマノイド「ugo Pro」を開発・販売しています。7軸デュアルアームを搭載し、全国のオフィスビル・商業施設・駅・空港で警備・点検業務に導入済みです(ugo公式)。
2024年1月のシリーズBで累計約16.5億円を調達し、サンケイビル、トヨタ紡織、パーソルVPなどが出資しています(ugo公式)。2025年10月には模倣学習キット「ugo Pro R&D」を発表し、LeRobot対応のフィジカルAIプラットフォームとしての展開も進めています(PR TIMES)。
SoftBank Groupのフィジカルai戦略
SoftBank Groupはヒューマノイドロボット分野で最も積極的な投資を行っている日本企業です。
Pepper(2014年発表、2020年生産停止)で消費者向けヒューマノイドに先行投資した経験を持ちますが、法人契約の更新率わずか15%という課題に直面しました(Robozaps)。製造子会社Aldebaranは2025年に破産し、資産は中国のMaxvision Technology Corp.に売却されています。
現在は「フィジカルAIプラットフォーマー」への戦略転換を進めています。
| 投資先 | 金額 | 内容 |
|---|---|---|
| ABBロボティクス | $53.75億(買収) | 産業用ロボット大手。従業員約7,000名、売上$23億 |
| Skild AI | $14億(NVIDIA共同出資) | ロボット向け汎用基盤モデル「Universal Brain」。評価額$140億 |
| Agility Robotics | 出資額非公開 | Digitヒューマノイドの開発企業。Series Cに参加 |
出典: SoftBank Group プレスリリース / Pittsburgh Startup News
孫正義CEOは「SoftBankの次のフロンティアはフィジカルAIだ」と宣言しており、ABBロボティクスの買収完了(2026年中盤〜後半予定)後はRobo HD傘下で統合されます。
日本の部品サプライチェーン — グローバルの要
日本はヒューマノイドロボットの完成品では出遅れていますが、部品・基盤技術では世界のサプライチェーンの要を握っています。
Goldman Sachsによると、ヒューマノイドロボットの製造コストは年40%のペースで低下しており、部品サプライヤーへの需要は今後急拡大する見通しです。
精密減速機
ハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)は波動歯車装置で世界シェア約50%を持ち、ロボット関節の小型化・軽量化に不可欠な技術を提供しています。ナブテスコ(6268)も精密減速機の大手です。
モーター・アクチュエータ
安川電機(6506)はサーボモーター世界トップシェアで、ヒューマノイドのアクチュエータへの技術転用が見込まれます。マブチモーター(6592)はKyoHAに参画し、小型モーター技術をヒューマノイド向けに展開する構えです。
センサー・半導体
ソニーグループ(6758)はイメージセンサー世界シェア50%超で、ロボットの「目」を支えています。Sony Innovation FundはAgility Roboticsに出資しており、投資面でもロボティクスに関与しています(Sacra)。村田製作所(6981)はKyoHA創設メンバーとしてセンサー・電子デバイスを提供。ルネサスエレクトロニクス(6723)もKyoHAに新規参画し、マイコン技術を供給します。
日本部品が採用されている海外ロボット
1X Technologies NEOのニットウェア外装には和歌山の島精機製作所製が採用されています(テレ東BIZ)。Boston Dynamics AtlasのアクチュエータはHyundai Mobisが供給していますが、NVIDIA Jetson Thorの日本代理店販売は菱洋エレクトロ等が担っています。
日本企業の海外ロボティクス投資
日本企業は完成品開発だけでなく、海外ヒューマノイド企業への投資・導入を通じても市場に関与しています。
| 日本企業 | 投資・導入先 | 内容 |
|---|---|---|
| 日本郵政キャピタル | Apptronik(米国) | Series A追加ラウンドに参加。物流業界への導入を視野 |
| Sony Innovation Fund | Agility Robotics(米国) | Series C等に参加 |
| SoftBank | Agility / Skild AI / ABB | 出資+$53.75億買収 |
| トヨタ(TMMC) | Agility Digit(7台導入) | カナダ工場でRaaS契約。部品トート積み下ろし作業 |
出典: THE BRIDGE / Sacra / TechCrunch
日本郵政キャピタルの小倉氏は「物流を優先し製造にも拡大する実務志向が日本市場で成功するために重要」とApptronikを評価しており(THE BRIDGE)、将来的に日本郵政グループへのヒューマノイド導入につながる可能性が示唆されています。
よくある質問(FAQ)
日本のヒューマノイドロボット企業にはどのようなものがありますか?
完成品メーカーとしてはトヨタ(T-HR3/Avatar Robot)、Honda(Avatar Robot)、川崎重工(Kaleido)、THK(SEED-Noid)があります。スタートアップではテムザック/KyoHA、ドーナッツロボティクス(cinnamon 1)、ugo(ugo Pro)が注目されています。また、ハーモニック・ドライブ、安川電機、ファナックなどの部品サプライヤーもヒューマノイド関連企業として重要です。
日本はヒューマノイドロボットで世界に遅れていますか?
完成品の商用化では米国(Tesla Optimus、Figure AI)や中国(Unitree、UBTECH)に先行されています。しかし、日本は精密減速機(ハーモニック・ドライブ)、サーボモーター(安川電機)、イメージセンサー(ソニー)など部品・基盤技術で世界のサプライチェーンの要を握っています。また、2025年にはKyoHAの発足やSoftBankのABB買収など巻き返しの動きも活発化しています。
KyoHA(京都ヒューマノイドアソシエーション)とは何ですか?
2025年7月に設立された、日本発の純国産ヒューマノイドロボット開発コンソーシアムです。早稲田大学の高西淳夫教授(ヒューマノイド研究の世界的権威)、テムザック、村田製作所、SREホールディングスが創設し、マブチモーター、カヤバ、ルネサスなど13者以上が参画しています。2026年末までに2系統のプロトタイプ製作を目指しています。
ヒューマノイドロボット関連の日本株銘柄は?
完成品メーカーでは川崎重工(7012)、THK(6481)が上場しています。部品サプライヤーではハーモニック・ドライブ(6324)、安川電機(6506)、ファナック(6954)、ナブテスコ(6268)、村田製作所(6981)などがあります。投資会社としてはSoftBank Group(9984)がABBロボティクス買収やSkild AI出資で注目されています。
ASIMOはまだ開発されていますか?
HondaはASIMOの開発を2018年に終了しています。2022年3月に日本科学未来館での展示も終了しました。ただし、ASIMOで培った二足歩行・バランス制御・マルチフィンガーハンドの技術は「Avatar Robot」に転用されており、2030年代の実用化を目指して開発が続いています。
まとめ
日本のヒューマノイドロボット産業は、完成品の商用化では米中に後れを取りつつも、部品サプライチェーンと技術基盤で独自の強みを持っています。
大手ではトヨタがTRI経由のAI研究と外部ロボット導入の両面で着実に進み、川崎重工は産業用ロボットの技術を活かしたKaleidoで実用化を目指しています。SoftBank Groupは$53.75億のABB買収でフィジカルAIプラットフォーマーへの転換を図り、スタートアップではKyoHAが13者以上の日本企業を束ねた純国産開発を始動させました。
部品メーカーの存在感も見逃せません。ハーモニック・ドライブの精密減速機や安川電機のサーボモーターは、Tesla Optimus や Boston Dynamics Atlasを含むグローバルなヒューマノイド開発に不可欠な要素です。「完成品で競う」だけでなく「部品で支える」という日本の立ち位置は、ヒューマノイドロボット市場の拡大とともにその価値を高めていくと考えられます。
ヒューマノイドロボットの全体像については「ヒューマノイドロボット完全ガイド【2026年最新版】」で、フィジカルAIをテーマにした関連企業・銘柄はフィジカルAI関連企業30社まとめで、フィジカルAI全体の解説はフィジカルAIとは?で詳しく解説しています。
本記事の情報は公開情報に基づいて作成しています。正確性には万全を期していますが、最新情報は各社公式サイトをご確認ください。
参考文献
- トヨタ自動車「ヒューマノイドロボット」
- TRI「AI-powered robot takes key step towards general-purpose」
- Boston Dynamics「TRI Partnership」
- TechCrunch「Toyota hires seven Agility humanoid robots」
- Honda「Avatar Robot」
- Wikipedia「ASIMO」
- IEEE Spectrum「Honda Halts ASIMO Development」
- 川崎重工「Kaleidoブログ」
- PC Watch「川崎重工 Kaleido 9」
- テムザック「KyoHA設立」
- テムザック「KyoHA新規参画」
- 日経ビジネス「ドーナッツロボティクス cinnamon 1」
- PR TIMES「ドーナッツロボティクス cinnamon 1」
- ugo「ugo Pro」
- ugo「シリーズB資金調達」
- PR TIMES「ugo Pro R&D」
- SoftBank Group「ABBロボティクス買収」
- Robozaps「Pepper Review」
- Pittsburgh Startup News「SoftBank and NVIDIA — Skild AI」
- Goldman Sachs Research「The AI Accelerant」
- テレ東BIZ「1X Technologies NEO 島精機製作所」
- THE BRIDGE「日本郵政キャピタル Apptronik出資」
- Sacra「Agility Robotics」
- PR TIMES「AIロボット協会」
- NVIDIA Newsroom「Jetson Thor」
